はじめに
はじめまして。心理カウンセラーの飯田恒幸です。
精神科看護師として30年以上、不安や緊張、生きづらさを抱えた方々と関わってきました。でも実は私自身も、ずっとあがり症で悩んできた一人なんです。
人前で話すと顔が熱くなる。声が震える。頭が真っ白になる。
「また緊張してしまった……」
そうやって、何度も自分を責めてきました。
だから何とか変わりたくて、話し方の本を読んだり、コミュニケーションのセミナーに行ったりもしました。「場数を踏めば慣れるだろう」「自信さえつければなんとかなるだろう」。そう信じて、思いつくことは一通りやってきたつもりです。
たしかに、話し方に関する知識は増え、前より少し話せるようになった場面もありました。でも、本当に大事な場面になると、身体だけは思うように動いてくれなかったんですよね。
今でも忘れられないのが、精神科の学会での発表です。始まってすぐ、緊張で声が震え始めて。「あ、震えてる」って気づいた瞬間、余計に緊張が強くなってしまい、何度も逃げ出したくなりました。
なんとか発表自体は終えたものの、本当につらかったのはそのあとの質疑応答でした。質問していただいているのに、緊張で内容がまったく頭に入ってこないんですよね。理解しようとしても頭が働かなくて、「とにかく何か答えなきゃ」という焦りばかりが膨らんでいく。そんな感じでした。
婚活のお見合いイベントに参加したときも、似たようなものでした。本当は笑顔で話したいし、相手のことをもっと知りたい。なのに、言葉が出てこない。沈黙が怖くて、「相手はどう思ってるんだろう」ばかり考えてしまって。
イベントが終わる頃には、心も身体もくたくたで、結果もついてきませんでした。
だからこそ、あがり症で苦しむ方の気持ちが、私にはよくわかります。そして同時に、話し方や会話のテクニックだけでは、この苦しさは根本から変わらないということも、自分の経験を通して知りました。
「なぜなんだろう」
そう考え続けるなかで、精神領域での経験や心理学、それにドライヘッドスパとの出会いを通して、あることに気づきました。
人は、安心できる身体という土台があってはじめて、本来の力を発揮できるんじゃないか。そういうことです。
今も緊張がまったくなくなったわけじゃありません。でも以前ほど、緊張に振り回されることはなくなりました。安心できる土台が少しずつ育ってきたことで、「緊張しても大丈夫」と思えるようになったからだと思います。
このブログでは、精神科看護師としての30年以上の経験と、自分自身が歩んできた経験、その両方をもとに、「身体から安心を育てる」という考え方をお伝えしていきます。
同じように緊張やあがり症で悩んでいる方にとって、この記事が何か新しい一歩につながれば嬉しいです。
1. 笑顔でいたいのに、笑えない
「もっと自然に笑えたらいいのに」。そう思ったこと、ありませんか。
仕事のプレゼン。初対面の人との会話。会議での自己紹介。婚活のお見合い。大切な人とのデート。
本当は笑顔で話したい。相手の話を落ち着いて聞きたい。自然な自分でいたい。それなのに、その場になると身体が思うように動いてくれない。
顔がこわばる。声が震える。頭の中が真っ白になる。笑顔を作ろうとすればするほど、なぜか不自然になってしまう。
「何か話さなきゃ」
「沈黙はまずい」
「変に思われてないかな」
そんなことばかり考えてしまって、相手の話が耳に入らなくなる。家に帰る頃には、心も身体もぐったり。
「あのとき、あんなこと言わなければよかった」
「もっと笑えたはずなのに」
「また失敗してしまった」
ひとりで反省会が始まります。そして次の機会が近づくと、また同じことになるかもしれない、という不安が頭をよぎる。
その繰り返しで、自信を失ってしまう方も少なくありません。
実際、私のところに来られる方からも、
「人前では別人みたいになってしまいます」
「普段は普通に話せるのに、初対面だけ緊張します」
「仕事では大丈夫なのに、婚活になると何も話せません」
そんな話をよく聞きます。
でも、それは決して珍しいことじゃありません。それに、あなたが弱いからでもないと思います。
私はこれまで、精神科看護師として30年以上、たくさんの方と関わってきました。そのなかで感じてきたのは、緊張しやすい方ほど、実はとても真面目で、責任感が強くて、相手のことを大切に考える方が多いということです。
「失敗したくない」「相手を不快にさせたくない」「ちゃんとした自分でいたい」。そういう優しさや誠実さがあるからこそ、身体は必要以上に緊張してしまうことがあるんですよね。
だから私は、緊張する自分を責める必要はないと思っています。
まず知ってほしいのは、顔がこわばるのは、あなたの性格や能力の問題じゃない、ということです。
じゃあ、なぜ身体はそこまで緊張してしまうのか。その答えは、「心」だけじゃなく「身体」にもありました。
2. 話し方を学んでも、緊張だけは変わりませんでした
「経験を積めば慣れる」「場数を踏めば大丈夫」。私も、ずっとそう信じていました。
だから話し方を学びました。コミュニケーションの本も読みました。人前で話す機会があれば、できるだけ挑戦するようにもしました。
もちろん、それらは決して無駄じゃなかったと思います。以前より話し方は上達しましたし、人前で話すことにも少しずつ慣れていきました。
でも、不思議なことに、本当に緊張する場面になると、身体だけは昔と変わらなかったんです。
呼吸は浅くなる。心臓はドキドキする。肩に力が入って、顔がこわばる。そして頭が真っ白になる。
「どうしてなんだろう」
「こんなに練習しているのに」
その答えを探し続けているうちに、あることに気づきました。私は、「話し方」ばかり変えようとしていたんです。
でも、本当に変わっていなかったのは、身体の反応の方でした。頭では「大丈夫」「落ち着こう」と思っているのに、身体は「危険だ」と感じている。だから、頭と身体がバラバラになっていたんですね。
精神科で働いていた頃も、同じような場面を何度も見てきました。頭では「不安になる必要はない」と理解している方でも、身体は緊張したまま動けなくなってしまう。逆に、身体の緊張が少しやわらぐと、表情が変わって、自然と言葉が出てくる方もいました。
そういう姿を見続けるなかで、あることを確信するようになりました。人の反応は、頭で考えていることだけで決まるわけじゃない。身体もまた、過去の経験を覚えていて、それが今の反応に影響しているんです。
だから、安心を取り戻すには「心を変えよう」と努力するだけじゃ足りないことがあります。身体にも、「もう大丈夫だよ」と伝えてあげる必要があるんじゃないか。そう考えるようになったのが、いまの心理調律という考え方の原点になっています。
3. 身体は、安心を覚えています
私は長いあいだ、「心」に向き合う仕事をしてきました。心理学を学んで、カウンセリングを続けるなかで、多くの方の心の変化を見てきました。
もちろん、心を見つめることはとても大切です。考え方が変わることで、生き方が変わることもあります。
でも、あるころから気づくようになったことがあります。頭では理解できているのに、身体がついてこない方がいる、ということです。
「失敗しても大丈夫ですよ」
「そんなに自分を責めなくてもいいですよ」
そうお伝えすると、多くの方が「頭ではわかっているんです」とおっしゃいます。でも、その言葉のあとに続くのは、「でも、身体が勝手に緊張してしまうんです」という言葉でした。
その姿を見ていて、思ったんです。もしかしたら、心だけじゃなく、身体にも安心を感じてもらう必要があるんじゃないか、と。
私たちの身体って、不思議なものです。怖かった出来事を覚えているのと同じように、安心できた時間も覚えています。
子どものころ、誰かに抱きしめられて安心したこと。信頼できる人と一緒にいてホッとしたこと。何も考えず、深く眠れた朝の心地よさ。そういう安心の感覚は、身体のどこかに残っているんだと思います。
だから私は、「身体は安心を覚えている」と考えています。
そして、その安心は一度で手に入るものじゃありません。何度も安心できる時間を積み重ねることで、「力を抜いても大丈夫」「そのままの自分でいても大丈夫」。そんな感覚が、少しずつ身体に育っていく。
この積み重ねこそが、本当の意味での「安心」なんじゃないかと、私は思っています。
だから「こころの空」で大切にしているのは、一時的に気持ちを軽くすることじゃありません。安心できる身体を育てること。安心して休める自分を育てること。
それができると、人は自然と表情がやわらいで、呼吸が深くなって、本来の自分らしさを取り戻していきます。
その変化を、30年以上の臨床のなかでも、いまの活動のなかでも、何度も見てきました。だからこそ、「身体から安心を育てる」という考え方を、これからも大切に伝えていきたいと思っています。
4. なぜ私は、身体からアプローチすることを大切にしているのか
ここまで読んでくださった方のなかには、「身体が安心を覚えていることはわかった。でも、それをどうやって育てていくの?」と思われた方もいるかもしれません。
私も以前は、「心を変えること」が一番大切だと思っていました。もちろん、その考えはいまも変わりません。
でも、30年以上精神領域の現場で働いて、多くの方と関わるなかで、感じてきたことがあります。それは、本当に疲れ切っている方ほど、「話すこと」さえ難しくなっている、ということです。
何を話したらいいのかわからない。自分の気持ちもうまく言葉にならない。「話してください」と言われても、それだけで苦しくなってしまう。そんな方を、私はたくさん見てきました。
私自身も、緊張が強いときは同じでした。頭では考えているのに、言葉にならない。相手の話も頭に入ってこない。「何か答えなきゃ」と焦るほど、ますます言葉が出なくなる。
だから思うんです。話すことよりも先に、安心できる身体を取り戻す時間が必要な方もいるんじゃないか、と。
その考えにたどり着いて出会ったのが、ドライヘッドスパでした。
初めてその考えに触れたとき、興味を持ったのは「気持ちいい」ということじゃありませんでした。身体がゆるむことで、人の表情や呼吸、言葉が自然と変わっていく可能性があること。そこに惹かれたんです。
身体の緊張がやわらぐ。呼吸が少し深くなる。肩の力が抜ける。すると、自然と表情もやわらいで、安心した空気が生まれていく。その変化に、大きな可能性を感じました。
もちろん、ドライヘッドスパだけですべてが解決するとは思っていません。緊張には、その人それぞれの人生があります。これまでの経験。人との関わり。傷ついた記憶。積み重ねてきた思い込み。そういう背景も、とても大切です。
だから「こころの空」では、身体だけを見ることも、心だけを見ることもしません。身体と心、その両方にやさしく寄り添いながら、「安心できる土台」を一緒に育てていくことを大切にしています。
私が届けたいのは、一時的なリラックスじゃありません。「安心して休める自分」を少しずつ育てていく時間です。
その積み重ねが、仕事や人間関係、恋愛や婚活など、人生のさまざまな場面で「本来のあなたらしさ」を支えてくれると、私は信じています。
5. 人生を動かすのは、安心できる時間から
私は、あがり症を「克服しよう」と何年も頑張ってきました。でも今振り返ると、本当に必要だったのは「頑張ること」じゃなかったんです。
安心できる時間だったんです。
人は緊張していると、自分を守ろうとします。だから顔がこわばる。だから声が震える。だから言葉が出てこない。それは、あなたが弱いからじゃありません。
あなたの身体が、一生懸命あなたを守ってくれている証拠なんです。だから、「緊張する自分」を責めなくていいと思っています。
むしろ、「今までよく頑張ってきたね」。そんなふうに、自分に声をかけてあげてほしいです。
安心は、一日で手に入るものじゃありません。筋肉を鍛えるみたいに、毎日の積み重ねのなかで育っていくものだと思っています。
安心して深呼吸できる時間。肩の力を抜ける時間。何も演じなくてもいい時間。そんな時間が少しずつ増えていくことで、身体は「安心していいんだ」と覚えていきます。
そして、その安心は、仕事や人間関係、恋愛や婚活など、人生のさまざまな場面で、あなたを支えてくれる土台になっていきます。
もし今、
「人前で緊張してしまう」
「顔がこわばってしまう」
「また失敗したらどうしよう」
そんな思いを抱えているなら、ひとりで頑張り続けなくても大丈夫です。
まずは、自分の身体に「安心していいよ」と伝える時間をつくってあげてください。その小さな積み重ねが、少しずつ毎日を変えていくかもしれません。
私も、かつては緊張に振り回されて、自分を責め続けていました。だからこそ、いま悩んでいるあなたの気持ちが、少しはわかる気がします。
このブログが、「変わらなければ」という焦りを手放して、「安心から始めてみよう」と思えるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
人生を動かすのは、特別な才能でも、大きな勇気でもないと思います。安心できる時間の積み重ねです。これからも、その時間をひとりでも多くの方へ届けていきたいと思っています。
「ひとりでは安心する感覚がつかめない」「身体から安心を育ててみたい」と感じている方は、ぜひあなたのペースに合わせてお手伝いをさせてください。初めての方には体験メニューもご用意していますので、まずはお気軽にご相談ください。