前回、「小さな出来事でもトラウマは生じうる」というお話をしました。
今回はさらに一歩踏み込み、「トラウマ的な思い込み」が
その後の人生にどう影響を与えるのか、見つめてみたいと思います。
「あの時の感情」が、今の私の選択を決めている?
私たちは、過去の体験を通して、
無意識のうちに「自分自身の在り方」を決めてしまっています。
たとえば…
- 幼い頃、親に褒められなかった経験は⇒「自分には価値がない」と決めています
- 友達に裏切られたことがある⇒「人を信じると傷つく」と決めています
- 好きな人に否定されたとがある⇒「私は愛されない存在」と決めつけます
こういった「思い込み」は、
強い感情を伴う体験の中で、心の奥深くに刻み込まれます。
そして、そのまま放っておくと、
無意識の「前提」として人生に影響を与え続けてしまうのです。
自分を守るための防衛が逆に生きづらさを生んでいる
たとえば、「私は人に嫌われる存在だ」と思い込んでいる人は、
無意識に人の顔色をうかがいすぎたり、自分を出すことを怖がったりします。
これは、かつての体験で「傷つくこと」が怖かったために、
自分を守るための戦略としてそうなったのです。
でも、大人になってもそれを手放せないままだと、
- 本音が言えない
- 人との距離を感じる
- 頑張っても報われない
という「生きづらさ」につながっていきます。
つまり、かつての心の防衛反応が、今の自分を制限してしまっているのです。
その“思い込み”は、本当に「真実」だろうか?
カウンセリングや心理療法では、
そうした「無意識の思い込み(ビリーフ)」に光を当てていきます。
「私は価値がない」
「人は信じてはいけない」
「頑張らなければ見捨てられる」
それ、本当に正しいでしょうか?
もしかしたら、
それは「その時の自分が生き延びるために作った、心のルール」だったのかもしれません。
そしてそのルールは、もう今のあなたには必要ないのかもしれません。
トラウマとは「過去の記憶」ではなく「今も続く反応」
トラウマとは単なる「昔の嫌な記憶」ではなく、
今でも心と体に影響を与えている「反応のパターン」です。
だからこそ、「忘れよう」とするのではなく、
「気づき、やさしく解いていく」ことが必要です。
そして、そのプロセスをひとりで行うのが難しいときは、
カウンセリングという安心の場で、一緒にその心の糸をほどいていくことができます。

まとめ
- トラウマ的な体験は、無意識の思い込み(ビリーフ)を生み、その後の人生に影響を与え続けることがある。
- それは過去の防衛反応であり、今のあなたにとってはもう不要なものなのかもしれません。
- トラウマを癒やすとは、その「思い込み」に気づき、書き換えたり見直すことで、自由な自分を取り戻していくことができる。
【カウンセリングのご案内】
もし今、心が疲れていたり、
ひとりで抱えていることがつらいと感じているなら、
どうか無理をせず、そっとご相談ください。
話したいこと、話せることからで大丈夫です。
あなたのペースを大切にしながら、
カウンセリングでは丁寧にお話をお聴きしています。
どんな小さなお悩みでもかまいません。
一歩を踏み出すきっかけになればうれしいです。