頭が真っ白になるのはなぜ?

~“あがり症”の脳と神経のしくみをやさしく解説~

こんにちは、心理カウンセラーの飯田です。

今回は、あがり症の中でもとても多いお悩み
「人前に出た瞬間、頭が真っ白になる」
「話そうと思ったのに、言葉が出てこなくて焦った」
「練習ではできたのに、本番になるとダメになる…」

こうした“あがりの瞬間”に起こっている脳と神経のしくみについて、
やさしく、でもしっかり解説していきます。

あがり症の正体は「防衛反応」

「緊張しすぎるのは自信がないから」
「メンタルが弱いからダメなんだ」

…そんなふうに自分を責めていませんか?

でも実は、あがり症は脳と神経の“防衛本能”のひとつです。

あなたの心はこうつぶやいているのかもしれません。

● 「失敗したらどうしよう」

● 「注目されるのが怖い」

● 「変に思われたくない」

このような不安が強くなると、脳は“これは危険だ”と判断し、
体に「緊急モード(=緊張)」のスイッチを入れるのです。

頭が真っ白になるのは“交感神経”のせい

人は強いストレスを感じると、「交感神経」が一気に活性化します。
交感神経とは、いわゆる“戦闘モード”をつかさどる神経です。

すると体には…

● 心拍数が上がる(ドキドキ)

● 呼吸が浅く速くなる

● 手足が冷たくなる or 汗が出る

● 筋肉がこわばる

● 声が震える/出にくくなる

そしてもうひとつ
脳の“前頭葉(思考・言語・計画)”の働きが低下するという現象が起こります。

これがまさに、

これがまさに、

● 「頭が真っ白になる」

● 「言葉が出ない」

● 「考えがまとまらない」

という“あがり症の瞬間”に見られる典型的な症状です。

それでも働いている“脳の中心”とは?

前頭葉が“お休み”状態のとき、
実は脳の中心部(扁桃体や脳幹)はフル稼働しています。

◆  扁桃体(amygdala)

◦ 恐怖や不安などの感情を即時に反応する

◦ 「危険!」と判断すると、交感神経を刺激します

◆ 脳幹(brainstem)

◦ 呼吸や心拍など命を守る中枢

◦ “闘うか逃げるか”モードを勝手に作動させます

つまり、あがり症のときは司令塔(前頭葉)は弱まり、警報ベル(扁桃体)と非常装置(脳幹)が暴走している状態なんです。

イメージで例えると…

● 前頭葉 = 冷静な司令塔(プレゼンの司会者)

● 扁桃体 = 警報ベル(ちょっとした物音でも大騒ぎ)

● 脳幹 = 自動操縦システム(命を守る反応を起こす)

あがり症は、警報が鳴りすぎて司令塔の声が届かなくなっている状態。

でもこれは能力の問題ではなく、“脳の回路が一時的に偏っているだけ”なんです。

どうすれば、元の自分に戻れるの?

答えは、「心と体を整える」こと。

緊張を“なくす”のではなく、
安心を少しずつ“取り戻す”アプローチがカギになります。

緊張スイッチをやさしくゆるめる3つの鍵

① 呼吸を整える

→「4秒吸って、8秒吐く呼吸」を3回繰り返す
→ お腹に手を当てて、自分の体を“今ここ”に戻す

② 声かけを変える

→ 「緊張しても大丈夫」
→ 「完璧じゃなくていい。伝えようとする気持ちが大事」
→ 「私はこの場にいていい」と自分に語りかける

③ 意識の向け先を変える

→ 「見られている自分」から、「伝えたいこと」「届けたい相手」に意識を移す
→ 「この話が誰かの役に立てばいいな」と思いながら話す

まとめ:緊張はあなたを守る反応

緊張すること、それ自体が悪いわけではありません。
あなたの心と体は、あなたを守るために反応しているだけ。

だからこそ、安心のスイッチを少しずつ押し直すように、
呼吸・言葉・意識の3つから整えていけば、
頭が真っ白になるパターンも、やさしくゆるめていくことができます。

あなたには、本来の力があります。
それを安心の中で取り戻していけるように、私はいつでもお手伝いします。