こんにちは、
心理カウンセラーの飯田です。
最近、カウンセリングの中でこんな声をよく聴きます。
「心を整えることは意識しているけれど、どうしても疲れが抜けない」
「頭では分かっているのに、体がついてこない」
まるで、心と身体がバラバラに動いてしまうような感覚。
でも、それは特別なことではありません。
多くの人が無意識のうちに、
“心と身体のリズムがずれている”状態になっているのです。
■心理だけでは届かない「体の声」
ある女性のクライアントさんは、
「人前に立つと息が止まってしまう」と悩まれていました。
彼女はとても真面目で、自己理解も深く、
「自分を責めないように」
「ポジティブに考えよう」
と努力していました。
けれど実際の場面になると、
体が勝手に緊張し、肩に力が入り、手足が冷たくなる。
心では「大丈夫だろう」と思っているのに、
体は「危険だ」と反応してしまう。
そこで私は、思考を変える方向ではなく、
呼吸や姿勢、目線など“身体の状態”からアプローチしていきました。
数回のセッションのあと、彼女はこう言いました。
「不思議なんです。今までは“頑張って落ち着こう”と思っていたけど、
いまは“自然に落ち着ける”感じがします。」
この変化の裏にあるのが、“心と身体の調律”です。
■私自身も、かつては「心」ばかりを追いかけていた
実は、私自身も昔は極度のあがり症でした。
人前で話すたびに心臓がドキドキして、
頭が真っ白になり、
声が震え、息が浅くなる。
酷いと、めまいもあって…
心理学を学び始めたのも、
「どうすればこの緊張をなくせるのか」という切実な思いからでした。
最初は「思考を変えれば変わる」と信じて、
認知行動療法、アファメーション、内省などを徹底して行っていました。
話し方教室にも通いました。
でも、どこかで限界を感じたのです。
どんなに心を整えようと努力しても、身体がこわばったままだと、
またすぐに不安が戻ってくる。
「心だけでは届かない領域がある」
そこから、呼吸や姿勢など身体の働きを学び、
心と身体の両面から整える方法を探究するようになりました。
そしてたどり着いたのが、“心身調律”という考え方です。

■心と身体をひとつとして整える
人は、心と身体を別々のものとして扱いがちです。
けれど実際は、心の疲れは身体に、身体の緊張は心に響きます。
たとえば──
悩みすぎて、頭が痛くなる。
緊張で、呼吸が浅くなる。
不安がいっぱいで、胃が痛くなる。
これは単なる偶然ではなく、
「心」と「身体」が同じメッセージを出している証拠なんです。
心が整うと、呼吸が深くなり、
身体がゆるむと、心が穏やかになる。
その“調和点”を取り戻すのが、私の言う「心身調律」です。
■“整える”とは、がんばることではなく、ゆるむこと
多くの方が、「整える=努力してバランスを取ること」と思いがちです。
でも本来の“整う”とは、無理にがんばって作るものではなく、
自然に戻っていくプロセスです。
たとえば、呼吸が深くなったときに感じる安心感。
背筋が伸びたときの軽やかさ。
あの“ふっとゆるむ感覚”こそが、心身が調和したサインです。
私たちの身体は、いつも心の状態を映しています。
だからこそ、心と身体をひとつとして扱うケアが、
これからの時代、もっと大切になると感じています。
■さいごに
もしあなたが今、
・ずっと疲れが抜けない
・人間関係に気を使いすぎて息が浅い
・頭ではわかっているのに体がついてこない
そんな状態なら、どうか一度立ち止まってみてください。
あなたの身体は、心の声を代わりに伝えてくれているのかもしれません。






