──心理カウンセラーが語る「本音を隠す癖」の背景
こんにちは、
心理カウンセラーの飯田です。
「断れない」「嫌われたくない」「気を遣いすぎて疲れる」そんな思いを抱えながら、人に合わせてしまう自分に苦しんでいませんか?
私も長い間、“いい人の仮面”をかぶって生きてきた一人です。
人に嫌われるのが怖くて、空気を読みすぎて、言いたいことが言えない。
そんな自分を変えたくても、どうしたらいいのかわからなかった時期がありました。
今日は、私自身の体験を交えながら、
「なぜ本音を言えないのか」「どうすれば心が楽になるのか」について、
ゆっくりお話ししていこうと思います。
学生時代から「おとなしい人」と思われてきた私
学生時代から、私は「おとなしい人」「自分の意見をはっきり言わない人」と思われていました。
授業で指名されても、頭の中では答えが浮かんでいるのに、声に出すと緊張してしまう。
グループでの話し合いでは、みんなの意見に「うん、そうだね」と合わせるほうが楽でした。
「いや、それは違う」と感じることがあっても、波風を立てたくない気持ちが勝ってしまう。いつの間にか、“自分の意見を言わないキャラ”が定着していったように思います。
それでも周囲からは「優しい」と言われることが多く、それが自分の安心材料にもなっていました。「そうやっていれば、嫌われない」「人間関係もうまくいく」と。
けれど、その“安心”の裏側には、
常に「本当の自分を出したら、どう思われるんだろう」という怖れがありました。
断れない優しさの裏にある、怖れと自己否定
社会人になってからも、その癖は続きました。友人に頼まれたことは断れないし、仕事でも無理をして引き受けてしまう。
本当は「いやだな」「疲れているな」と思っても、つい「大丈夫です」と言ってしまう。
その場では穏やかに笑っていても、
家に帰ると、どっと疲れが押し寄せてきました。
「なんであんなに引き受けちゃったんだろう」「また無理してしまった」
そうやって、自分を責める夜が何度もありました。
頭では「ちゃんと断ればいい」とわかっているのに、心のどこかでブレーキがかかってしまう。
今になって思えば、それは
「人の期待に応えることでしか、自分の価値を感じられなかった」
というビリーフ(思い込み)に支配されていたのだと思います。
外では“いい人”、家では爆発──心のバランスの歪み
少し意外かもしれませんが、家ではまったく違う顔をしていました。
外では笑顔で人に合わせていた分、
家ではその反動で、親にきつく当たることが多かったのです。
「なんでわかってくれないんだよ」
「ほっといてよ!」
そんな言葉を投げつけてしまうこともありました。
当時は「自分は二面性があるのかも」と悩みましたが、
今ならわかります。
それは“外で抑えた感情”が、安全な場所で爆発していたんです。
つまり、外では「いい人の仮面」をかぶり続け、家の中でだけ、そのストレスを解放していた。それは、心が必死にバランスを取ろうとしていた証拠でした。
本当は、ただ「わかってほしい」「受け止めてほしい」そんな気持ちを、ずっと押し込めていただけだったんです。
“いい人の仮面”をかぶる理由──安心のための鎧
では、なぜ私たちは“いい人”を演じてしまうのでしょうか?
それは、多くの場合、「安心のため」です。
人に合わせていれば、嫌われない。
場の空気を壊さなければ、拒絶されない。
この“安全策”を覚えたのは、多くの場合、子どもの頃です。親の機嫌をうかがったり、家庭の中で「いい子」でいようと努力したり。
「怒られたくない」「悲しませたくない」という想いが、そのまま大人になっても残ってしまうのです。
だから、“いい人”でいようとするのは、悪いことではありません。むしろ、生き延びるために身につけた大切な戦略です。
けれど、それをずっと続けていると、
“自分が本当は何を感じているのか”がわからなくなっていきます。
そして、気づいたときには「人の期待の中で生きる自分」しか残っていない。
それが、私の実感でした。
現場で見てきた「本音を隠す人たち」の共通点
長年、精神領域で働く中で、
「言いたいことがあっても言えない人」たちの姿をたくさん見てきました。
彼らに共通していたのは、
とても優しく、誠実で、責任感の強い人たちだということ。
でも、その優しさが自分を苦しめてしまう。
他人の感情には敏感なのに、自分の心の声は聞こえなくなっている。
私はその姿を見て、痛いほど共感しました。
なぜなら、かつての自分がまさにそうだったからです。
そして、あるとき気づきました。
「本音を飲み込み続けることが、心のエネルギーを一番奪う」
ということに。
“いい人”をやめることより、
“いい人のまま苦しみ続けること”のほうが、ずっとつらいのです。

私を変えたのは、「引き上げてくれる人」の存在
心理学を学び始めたのは、自分を知りたかったからでした。心の仕組みを学ぶうちに、
「自分を責めてきた部分に、優しさを向ける」大切さを知りました。
そして何より、
「引き上げてくれる人」の存在が、私を変えました。
「そのままでいいですよ」
「弱い自分も、人として自然ですよ」
そんな言葉をかけてくれる人がいたことで、
心の鎧が少しずつゆるんでいきました。
私はそれまで、弱さを見せること=ダメなこと、と思っていました。
でも、弱さを見せても離れていかない人がいる。その体験が、人生を静かに変えていったのです。
仮面をゆるめた先にある、本当のつながり
今でも、「いい人の仮面」を完全に外せたわけではありません。
でも、昔よりずっと“本音の自分”を出せるようになりました。
そして不思議なことに、
本音を出すようになってからのほうが、
人とのつながりは深く、やさしいものになりました。
「無理に笑わなくてもいい」
「できないって言ってもいい」
そんな関係のほうが、ずっと温かいと気づいたのです。
“いい人”をやめたら、孤立するどころか、
むしろ自分らしいつながりが生まれました。
まとめ
- 「いい人」を演じていると、いつの間にか自分を見失う
- 本音を隠す癖は、幼い頃に身についた“安心のための鎧”
- 少しずつ仮面をゆるめることで、人とのつながりはむしろ深まる
あなたが“誰かの期待”ではなく、“自分の心”で生きられるように。今日も、小さな一歩を大切にしていきましょう。
最後に
もし今、あなたが「いい人でいなきゃ」と頑張りすぎているなら、
ほんの少しでいいので、自分を労ってあげてください。
「断っても嫌われない」
「本音を出しても大丈夫」
その小さな実感が、あなたの心を少しずつ自由にしていきます。
今日もがんばりすぎているあなたへ。
どうか自分にやさしくしてあげてくださいね。
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