~“あがり症”の正体をもっと深く知るための心のレッスン~
こんにちは、心理カウンセラーの飯田です。
あがり症で悩んでいる方の多くが、心のどこかでこんなふうに思っています。
「人前に出ると緊張して話せなくなるのは、自分だけなんじゃないか」
「なんで私は、他の人みたいに堂々としていられないんだろう」
「もっと普通に話せたら、仕事も恋愛もうまくいくのに…」
「なぜ自分はあがってしまうのか?」という疑問をやさしくひもときながら、あがり症の本当の姿に近づいていく心のレッスンをお届けします。
あがり症は「性格」ではなく「記憶」と「学習」から生まれる
あがり症の人は、よく「もともと緊張しやすい性格だから」と考えてしまいますが、
実は、あがり症は“心のクセ”として後天的に身についた反応なのです。
たとえば…
● 小学生のとき、発表で笑われた経験
● 先生や親に「ちゃんと話しなさい」と強く言われたこと
● 自分の話がスルーされた経験
そんな“人前での小さな傷”の記憶が、「恥ずかしい」「怖い」「失敗したらダメ」という
深い学習となって、大人になった今も無意識に反応として現れてしまうのです。
「緊張=危険」と脳が勘違いしているだけ
私たちの脳は、“かつての経験”に基づいて、「これは危ない場面だ」と判断します。
あがり症の人は、過去に人前で感じた“怖さ”や“恥ずかしさ”の記憶が強く残っていて、
同じような場面になると、脳が勝手に「危険信号」を発動してしまうのです。
これが、前回お話ししたような…
◦頭が真っ白になる
◦声が震える
◦呼吸が浅くなる
◦早口になる or 話せなくなる
といった「身体のあがり反応」へとつながっていきます。
“あがらない人”にも、実は「緊張」はある
あなたが見て「緊張してなさそう」と感じる人も、
実は多少の緊張は感じていることが多いんです。
では、何が違うのか?
それは、「緊張=悪いこと」だと思っていない
「緊張しても、自分はちゃんとやれる」と思えている
つまり、“緊張”に対するとらえ方が違うだけなのです。
あがり症の背景にある「ビリーフ(思い込み)」とは?
多くのあがり症の方が、心の奥にこんなビリーフ(思い込み)を持っています。
● 「うまく話せなかったら、恥をかく」
● 「人に失望されるのが怖い」
● 「ちゃんとしないと嫌われる」
● 「完璧じゃないと認められない」
こうしたビリーフは、過去の経験や親・先生・周囲の反応の中で、少しずつ刷り込まれてきたものです。
でも、ここが大切なポイント。
ビリーフは、“真実”ではなく“学習された思い込み”にすぎません。
つまり、書き換えることができるのです。
書き換えの第一歩は、「気づくこと」
たとえば、こんなふうに自分に問いかけてみてください。
● 「私はどうして、人前で完璧に話さなきゃと思ってるんだろう?」
● 「失敗=恥、という思い込みは、どこで身についたんだろう?」
● 「“ちゃんとしなきゃ”と思っているとき、私は誰の期待に応えようとしている?」
このような問いを通して、
自分の中の“無意識のルール”に気づくことが、緊張をゆるめるための第一歩になります。

心のレッスンまとめ
あがり症は、単なる「性格」や「慣れ」の問題ではありません。
それは、あなたの中にある“心の記憶”と“思い込み”が作り出している反応なのです。
でもその正体を知れば、もう自分を責めなくて大丈夫。
● あがり症は「防衛反応」
● 過去の経験と脳の記憶が原因
● ビリーフは書き換えられる
● “気づき”が第一歩
これらをひとつずつ実践していけば、
「なんで自分だけ…」という不安はやがて「私にもできる」に変わっていきます。