こんにちは。
心理カウンセラーの飯田です。
今回は、「明るい仮面タイプ」の方についてお話ししたいと思います。
「仮面タイプ」とは?
ありのままの自分では愛されないかもしれないという不安を胸に、
人の期待や空気に合わせて生きてきた人のことを指します。
でもその仮面は偽物ではありません。
誰かを傷つけないため、家族を守るため、職場を穏やかに保つため――
そうしたやさしさや責任感から、身につけてきた防具のようなものなんだと思います。
けれど、長く仮面をつけ続けていると、
少しずつ「本当の自分」が遠くに感じられるようになっていきます。
もしかしたら、自動的に笑顔のスイッチが入るみたいな感じなのかもしれません。
仮面にはいくつかのタイプがありますが、
今回は「明るい仮面タイプ」について書いてみます。
■ 笑顔の下にある「本音」
私のまわりには、「明るい仮面」をかぶっている方が割りと多かったんです。
患者さんの中にも、同僚や後輩の中にもいました。
どんな場面でも明るく、場を和ませる人。
みんなが疲れているときでも、冗談を言って笑わせてくれる人。
一見するとポジティブで元気な人に見えますが、
よく見ると、その笑顔の奥に「小さな疲れ」が見えるときがありました。
「本当は無理してるんじゃないかな」
「誰かに話を聞いてほしいのかもしれないな」
そう感じる瞬間が、何度もありました。
■ 「笑ってるほうが楽なんです」
ある患者さんが、印象的な言葉を残しました。
「笑ってるほうが、楽なんです。泣くと止まらなくなるから」
最初はいつも笑顔で、「元気です」と明るく返してくれましたが、
少しずつ打ち解けていく中で、
本音をポツリと語ってくれたことがあったんです。
その方は、長い間「つらさ」を人前で見せないようにしてきたそうです。
家では涙が止まらなくなり、夜が長く感じたそうです。
それでも翌朝になると、「大丈夫」と自分に言い聞かせて笑顔を作っていたそうです。
明るい仮面って、本当にやさしいんですよね。
「人を心配させたくない」
「場の空気を重くしたくない」
そう思う優しさの積み重ねが、いつしか仮面になる。
そして、その仮面が、だんだんと自分を苦しめてしまう。
■ あるスタッフの話
看護師として働いていたころ、職場のスタッフにもいました。
いつも笑顔で、忙しい現場でも明るく声をかけてくれる人。
誰よりも気を配り、誰よりもがんばっていました。
でもある日、突然その人が涙をこぼしたんです。
いつもは冗談を言っていた人が、声を震わせながらこう言いました。
「もう笑えない」
そのとき、私は思いました。
――ああ、この人は限界までがんばってきたんだな、と。
笑顔のまま我慢して、
誰にも弱音を吐かずに耐えてきた人が、
ある日ふっと糸が切れたように涙を流す
そういう場面を、何度も見てきました。

■ 明るい人ほど、心は繊細
不思議なことに、明るい人ほど、心はとても繊細だと思います。
人の痛みに気づけるからこそ、場の空気を和ませようとする。
誰かの悲しみを感じとるから、あえて自分の悲しみは隠す。
でも、明るい人ほど、本当は泣いていいし、
弱音を吐いてもいいし、
「ちょっと疲れたな」と誰かに言っても大丈夫です。
それで人間関係が壊れることは、まずないし。
むしろ、その正直なひとことがきっかけで、
本当のつながりが生まれることだってあります。
■ 防具を、少しだけ外してみる
明るい仮面は、偽物じゃありません。
優しさでできた防具です。
でも、長くつけていると、呼吸が浅くなり苦しくなる。
だから、少しだけもいいから仮面を外してほしいと思います。
「今日は元気出ないな」
「なんか気分が晴れない」
そう口に出すだけでも、心の中に風が通るように楽になります。
明るさも、悲しみも、ぜんぶあなたの中にある大切な色です。
どちらか一方を消す必要なんてないと思います。
■ おわりに
明るくふるまってきたあなたは、
ずっと誰かを守ってきました。
でも、これからは――
自分のことも、守ってあげてください。
笑顔のあなたも、泣き顔のあなたも、
どちらも本当のあなたです。
そのどちらにも、ちゃんと愛される価値があります。

がんばることを少しお休みして、
今の気持ちを、そっと話してみませんか。
「誰にも言えなかったこと」「言葉にならない不安」も、
ここではゆっくり整理していけます。
あなたのペースで大丈夫です。
ひとりで抱えている思いを、少しずつほぐしていけるよう、
やさしく寄り添いながらサポートします。





