適応障害が起きやすい「場」と「状況」

こんにちは。

心理カウンセラー飯田です。

前回は、適応障害の主な症状やサインについてお伝えしました。

今回はもう一歩進めて、「適応障害が起きやすい環境や場面」について、

現場での経験も交えてお話しします。

「人は環境に傷つく」それが適応障害の本質

私たちの心は、環境や人間関係にとても影響を受けています。

特に、「こうしなければならない」「自分を押し殺してでも適応しなければならない」

と感じる場面で、

心のバランスは崩れやすくなります。

適応障害は、特定のストレス因(ストレッサー)が引き金になることが特徴です。

そのストレッサーがどこにあるのか、

それを理解することが、回復の第一歩になります。

1.仕事:真面目な人ほど苦しみやすい

職場でのストレスが原因で適応障害になるケースは非常に多く、現場でもよく見られます。

よくあるストレッサー

◦ 上司や同僚との人間関係の悪化

◦ 過剰な業務量・責任

◦ パワハラや職場のいじめ

◦ 異動・転職・昇進などによる環境の変化

◦ 自分の適性に合わない業務内容

あるクライエントの方は、異動先での上司との関係に悩み、

「朝起きると吐き気がして動けない」と訴えてこられました。

「みんな耐えてるんだから、自分もがんばらなきゃ」と思っていたそうですが、

体が限界を知らせるサインを出していたのです。

2.学校:思春期の心は環境に敏感

中高生や大学生においても、学校という環境は非常にストレスフルです。

特に、思春期は「自分とは何か」「人とどう関わるか」に悩む時期でもあり、

適応障害を発症することがあります。

よくあるストレッサー

◦ いじめ・からかい・排除

◦ 友人関係のトラブル

◦ 成績や進路へのプレッシャー

◦ 親や教師からの期待

◦ 新しいクラスや部活動への不安

実際に、私が現場でであった学生さんは、

「友だちが誰もいないまま新学期が始まり、不登校になった」という方もいました。

「学校に行きたくない」気持ちは、怠けではなく、心が自分を守ろうとしているサインなのです。

3.家庭:安心できるはずの場所がストレス源になることも

家庭は本来、安心できる場所であるべきですが、

そこにストレッサーが存在することも少なくありません。

よくあるストレッサー

◦ 親との同居や介護

◦ 配偶者との関係不和

◦ 子育てや家庭内の役割のプレッシャー

◦ 経済的な不安や住宅環境の問題

◦ 家族内の病気・死別

ある主婦の方は、夫の転勤による引っ越しと、義両親との同居が重なり、

「自分の居場所がない」と感じて適応障害を発症しました。

家族のために我慢し続けた結果、自分の心が悲鳴を上げたのです。

「変化」が引き金になる

適応障害の特徴は、

“変化”がきっかけになることです。

たとえば…

◦ 入学・進学・就職・転職

◦ 引っ越し・結婚・出産・離婚

◦ 介護の始まり・配偶者の死別

◦ 職場環境の変化・人事異動 など

どれも「人生の節目」であり、決してネガティブな出来事だけとは限りません。

しかし、たとえ“喜ばしい変化”であっても、人によっては大きなストレスとなるのです。

私のカウンセリングの現場でも、「自分ではたいしたことじゃないと思っていたのに、体がついてこなくなった」とお話しされる方がとても多くいらっしゃいます。

変化が多い時期ほど、心は疲れやすくなります。
そんなときは、「誰かに話す」「気持ちを整理する」ことが、自分を守る大切な一歩になります。

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