あなたは、どんなときに不安を感じやすいですか?
たとえば、
友人や恋人からLINEの返信が来ないとき、
「もしかして嫌われたのかな」「私、避けられてる…?」と落ち込んでしまう。
あるいは、職場でちょっとしたミスをしたとき、
「きっと評価が下がったに違いない」と頭の中でぐるぐる考えてしまう。
お金のこと、将来のこと。
このまま一人で孤独な人生だったらどうしよう…と、
夜にふと襲ってくる漠然とした不安。
そして、
「何をしても満たされない」
「自分には価値がないんじゃないか」と感じる瞬間。
…そんなふうに、不安に心が支配されること、ありますよね。
でも、そんなとき、こんなふうに思ってしまうことはありませんか?
「こんなふうに感じる私は弱いんじゃないか」
「もっと前向きに考えなきゃ」
「この不安をなんとか消さなきゃいけない」
でも、本当にそうでしょうか?
不安は、あってもいい感情です
不安を感じるのは、実はとても自然なこと。
不安があるからこそ、私たちはリスクに備えたり、
慎重になったりできます。
つまり、不安そのものは「悪者」ではなく、
私たちを守ってくれる感情でもあるのです。
ただし、不安に飲み込まれすぎてしまうと、
頭の中で「最悪のシナリオ」がぐるぐる回り続けるようになります。
現実には起こっていないことまで、
まるで本当に起きたかのように感じてしまう。
でも冷静に考えてみると、不安というのは「現実」ではなく、
あくまで“自分の中でつくり出したイメージ”にすぎません。
実際、不安の9割は現実には起こらないとも言われています。
それなのに、私たちは不安ばかりに注目し、
頭の中で勝手に物語をつくってしまうんです。

不安とどう向き合うか──鍵は「ニートラル思考」
では、そんな不安とどう向き合えばいいのでしょうか?
それは、不安という一方向だけの視点に偏るのではなく、
ポジティブな可能性や、まだ起きていない中立的な立場にも
目を向けてみることです。
たとえば、
「もしかしたら大丈夫かもしれない」
「まだ起きていないことだし、決めつけなくていい」
「こうなる可能性もあるし、ああなる可能性もある」
こんなふうに、視野を少し広げてあげるだけでも、
不安に対する感情は少しやわらぎます。
ニートラル思考を育ててみよう
このとき役に立つのが、「ニートラル思考(中立思考)」です。
これは、ネガティブな思考に偏りそうになったとき、
無理にポジティブに持っていくのではなく、
いったん立ち止まって、冷静に「事実」と「感情」を分けて見つめ直すこと。
たとえば、
「私は今、不安を感じているんだな」
「でも、それが本当に起こるとは限らないよね」
「ちょっと深呼吸して、別の見方も探してみよう」
こうした思考の切り替えは、不安を否定せずに受け入れながらも、
心のバランスを取り戻す、やさしい方法になります。
不安と戦うのではなく、巻き込まれずに付き合っていく。
そんな自分のあり方を少しずつ育てていくことが、ニートラル思考の目的です。
「不安+α」の視点が、心を軽くする
大切なのは、「不安を感じてはいけない」ではなく、
「不安だけに支配されなくていい」ということ。
不安にとどまりすぎず、ほかの感情も一緒に感じてみる。
そうすることで、不安から少し距離が取れ、
違った視点で物事を見られるようになります。
たとえば、
- 不安+希望:「今は孤独でも、いいご縁にめぐまれるチャンスはこれからある」
- 不安+ユーモア:「不安になってる私も、ちょっとかわいいかも」
- 不安+信頼:「ミスはしたけれど、次はきっと取り返せる」
不安と、安心・信頼・希望・ユーモアなどの感情を同時に感じることは可能です。
どちらか一方ではなく、両方を同時に持っていいのです。
終わりに
不安は、私たちを守ってくれる大切な感情です。
でも、その不安に飲み込まれてしまうと、
心がどんどん疲れてしまいます。
不安の多くは、まだ起きていない
「想像」であることに気づきましょう。
そして、不安を感じたときは「私は今、不安なんだな」と、
まずは自分に声をかけてあげてください。
そのうえで、「ニートラル思考」で
冷静な視点を取り戻す練習をしてみてください。
不安と付き合いながらも、
自分らしくいられる心の在り方を、
あなた自身のペースで育てていけますように。

【カウンセリングのご案内】
もし今、心が疲れていたり、
ひとりで抱えていることがつらいと感じているなら、
どうか無理をせず、ご相談ください。
話したいこと、話せることからで大丈夫です。
あなたのペースを大切にしながら、
カウンセリングでは丁寧にお話をお聴きしています。
どんな小さなお悩みでもかまいません。
一歩を踏み出すきっかけになればうれしいです。