こんにちは。心理カウンセラーの飯田です。
今日は、私自身の体験を交えながら「失恋や離婚を経験した人にしかわからない痛み」
についてお話ししたいと思います。
失恋や離婚をした直後って、たとえそれが自分の選択だったとしても、心の中にぽっかり穴があいたような感じがするものです。
「こんなに頑張ったのに、なぜダメになってしまったんだろう」
「もう誰かを信じるのが怖い」
と思ってしまう自分がいました。
私も40代に入ってから経験した失恋で、2年ほど立ち直れなかった時期がありました。
仕事はしていましたが、家に帰ると何もする気が起きずにただぼんやりしていたり。
誰にも言えないまま、心の奥でずっと痛みを抱えていました。
「ふつうの日常」が壊れたとき、人は深く傷つく
一番つらかったのは、「普通に見せなきゃ」と思っていたことかもしれません。
職場では何事もないようにふるまっていました。
「大丈夫?」と聞かれても「ちょっと寝不足で」と笑って答える。
でも、内心はぐちゃぐちゃで、帰り道や夜になると感情が押し寄せてきて、胸が苦しくなる日も多かったんです。
食べ物の味がぼやけたり、音楽がただの雑音のように感じられたりしたこともありました。
心が閉じてしまうって、こういうことなんだと実感しました。
そんなある日、近所の公園で桜が咲いているのを見ました。毎年当たり前のように咲く花なのに、その日は妙に心に刺さったんです。
「私の時間は止まったままなのに、季節はちゃんと巡っているんだな」って。
誰かに言われた言葉でも、何か特別な出来事があったわけでもありません。
ただ、その桜を見たとき、ほんの少しだけ心が動いた気がしました。

自分を責めないことで、心に少しずつ温もりが戻ってくる
その日を境に、私は小さなことでも「自分にやさしくしてみよう」と思い始めました。
「今日はちゃんと起きられてえらいね」「泣きたいなら泣いていいよ」と、自分に声をかけるようにしてみました。
すぐに元気になれたわけではありません。でも、少しずつ、自分の気持ちを責めるのをやめることで、心が少しだけ軽くなっていったように思います。
人は、誰かと一緒にいることで安心を感じたり、自分の居場所を感じたりしますよね。
だからこそ、その人がいなくなると、「私はどこにいればいいんだろう」と迷ってしまう。
でも、今になって思うのは、本当の居場所って、相手の中じゃなくて、自分の中に少しずつ育てていくものなんじゃないかということです。
たとえば、無理をして頑張っていた気持ち、言えなかった本音、ホントはこうしたかったという小さな願い。そういった“心の声”を大切にしていくことが、自分の中に安心を取り戻す第一歩になるのではないかと、私は思っています。
痛みはあなたを優しくし、未来への力にもなる
「時間が解決する」とよく言われるけれど、実際には時間だけでは癒やせない痛みもあると思います。でも、その間は自分の本音を感じたり、気持ちに向き合ったりすることで、その痛みがいつか別のかたちに変わることがあります。
たとえば、自分をもっと大切にしようと思えたり、人の痛みに寄り添えるようになったり、新しい人生を選び直す勇気がわいてきたり。
そうやって、あのときのつらさが、今の自分を支える力になっていくこともあるんです。
今もし、あなたが失恋や離婚の後で立ち直れずにいるとしたら、どうか自分を責めないでほしい。
「もうダメかもしれない」「前に進めない」と思うことがあっても、それは決して弱さではありません。それは、あなたが真剣に向き合ってきた証だし、深く愛していた証です。
何もできない日があってもいい。
涙が止まらない日があってもいい。
前に進めないように感じても、実は心の奥では、あなたなりのペースで癒しが進んでいます。
焦らず、比べず、どうか自分の心の声に耳を傾けてください。
そしていつか、
「あのときの自分も、よく頑張ってたな」と、優しく思い出せる日が来たら、それで十分です。
あなたが今日、少しだけ自分にやさしくできたなら、それはもう、回復への大きな一歩です。
