緊張に負けそうなときは「笑顔」と「呼吸」を試してみて

こんにちは。心理カウンセラーの飯田です。

私はふだん、不安や緊張、人間関係の悩みなどを中心に、
カウンセリングのお仕事をしています。

今回は、「緊張してうまく話せない」「頭が真っ白になる」という方に向けて、

緊張をやわらげるために私が大切にしている
体からのアプローチについてお話ししたいと思います。

あまり堅苦しい話ではなく、できるだけやさしい言葉で書いてみました。
少しでも心が軽くなるヒントをお伝えできたらうれしいです。

緊張って、体の中でなにが起きてる?

人前で話す前、初対面の人と会うとき、大事な面接の直前…
私たちはいろんな場面で「緊張」を感じますよね。

この緊張、気のせいとか、気持ちの問題と思われがちですが、
実はちゃんと、体の中のしくみが関係しています。

交感神経が働いている

緊張しているとき、私たちの体の中では
「交感神経」という神経がはたらいています。

交感神経は、いわば戦闘モードのスイッチです。
敵が来た!とか、すぐ動かないと!
というときに働く、命を守るための反応です。

緊張しているとき、こんなことが起こっていませんか?

  • 表情がこわばる
  • 声が出にくい・震える
  • 手が冷たくなる
  • 呼吸が浅くなる
  • 胸がドキドキして苦しい
  • 頭が真っ白になる

これ、全部「交感神経が優位になっている」サインです。
つまり、体はちゃんとあなたを守ろうとしてくれています

リラックスするには「副交感神経」が必要

でも、ずっと戦闘モードのままだと、疲れてしまいます。

本番の場面で冷静さを取り戻すには、「副交感神経」という、
安心と回復のスイッチが必要になります。

副交感神経がはたらくと、体はリラックスして、
表情や呼吸もゆるんできます。

「大丈夫」「落ち着いてていいよ」というサインが、体に出てきます。

じゃあ、どうしたら副交感神経をはたらかせることができるのか?

呼吸をゆっくりするのがポイント

まず、一番シンプルで、
すぐにできる方法があります。

それは、呼吸です。

心臓の動きや体温は、自分でコントロールできませんが、
呼吸だけは、自分でコントロールできます。

つまり、呼吸は自律神経の入り口みたいなもの。

ここを通じて、副交感神経に「今は安心していいよ」
と伝えることができます。

でも、間違った呼吸は逆効果

「深呼吸はしてるけど、効かない」
そんな声もよく聞きます。

もしかすると、吸う息ばかり意識したり、
呼吸が早くなっている
かもしれません


実はこれ、過呼吸のような状態になっていて、
逆に交感神経を刺激してしまいます。

つまり、深呼吸もやり方を間違えると、
緊張を悪化させてしまいます。

ゆっくり吐く呼吸を練習しよう

おすすめは、こんな呼吸です
鼻から5秒かけて吸う
口をすぼめて、10秒以上かけて吐く

この「吐く時間を長くする呼吸」が、
副交感神経をやさしく刺激してくれます。

できれば、普段から練習ておくのがおすすめです。

たとえば、

  • 歯みがきのとき
  • トイレに入っているとき
  • 布団に入ったとき

そんな「ついで時間」を使って練習すると、習慣になりやすいですよ。

笑顔には、すごい力がある

さて、ここからは「笑顔」の話です。

呼吸も大事ですが、今回私がとくに伝えたいのは、
笑顔には本当にすごい力があるということなんです。

「緊張してるのに、笑顔なんてムリ」
って思うかもしれません。

でも、実はその「つくり笑顔」でさえ、
体にはちゃんとリラックスの効果があります。

作り笑顔でも、副交感神経がはたらく

笑うと、副交感神経が刺激されて、
体が「安心モード」になります。

これは、ニコニコして楽しい気分だから…というより、
笑顔の表情筋を動かすことで脳に信号が届くからなんです。

つまり、気持ちが笑ってなくても、
笑顔のカタチをつくるだけで効果があるということ。

この仕組みには「フィードバック効果」という名前もついていて、
心理学でも研究されています。

セロトニンも出る

さらに、笑顔をつくることで、
「セロトニン」という脳内物質も分泌されます。

このセロトニンは、心を安定させてくれる神経伝達物質で、
ストレスをやわらげたり、気持ちを落ち着かせる働きがあります。

つまり、笑顔は天然の安定剤みたいなもの。

緊張しているときって、「なんとか落ち着きたい」って思っても、
頭ではうまく切り替えられないですよね。

でも、笑顔を使えば、体の反応から変えていけます。

「とっさの笑顔」が難しい理由

とはいえ、いざというときに笑顔って、
なかなか出ないですよね。

緊張しているときは、顔の筋肉もこわばっていて、
口角が上がりにくくなっています。

とくに人前での会話や発表の場では、
「笑おう」としてもうまく笑えない
…そんな経験、私もあります。

これは、表情筋が普段からあまり使われていないと、
「緊張で固まった顔」に引っ張られてしまうからなんです。

だから、普段から笑顔の筋トレをしよう

大切なのは、「緊張する場面の前だけ笑おう」とするのではなく、
日常の中で、笑顔の筋肉をゆるめる練習をしておくことです。

たとえば…

  • 歯みがき中、鏡の前でにっこり
  • トイレに入ったとき、鏡で口角アップ
  • 朝、顔を洗ったついでに笑ってみる

たった1日10秒でOKです

笑顔って、筋肉です。
普段から動かしておけば、

とっさの場面でもスッと笑えるようになります。

そして、笑えるだけでなく、

「私は笑えている」「ちゃんと笑えている私、エライ」
と自分を少し認めてあげられるようにもなってきます。

緊張と仲良くなるには、笑顔と呼吸のセットで

ここまでお伝えしてきた「呼吸」と「笑顔」。

この2つを組み合わせると、体の内側と外側から、
同時に副交感神経を刺激できます

呼吸で、体の内側をゆるめる
笑顔で、顔の表情と気持ちをゆるめる

このダブルアプローチを使えば、緊張しやすい人でも、
少しずつ「戻る力」が育ってきます。

最後に──

緊張するのは、ダメなことじゃありません。

むしろ、緊張するということは、
それだけ真剣で誠実に向き合っている証拠だと思います。

でも、緊張しすぎて動けなくなったり、
苦しくなったりしてしまうと、つらいですよね。

だからこそ、「戻る方法」を知っておくことが大事です。

  • 呼吸をゆっくりしてみる
  • 鏡に向かって、ちょっとだけ笑ってみる

それだけでも、体は変わってきます。

そして、「私はちゃんと整える力を持っている」
と感じられることが、次の安心につながっていきます。

もしよかったら、今日から「呼吸と笑顔」、試してみてください。

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