適応障害と向き合う時間

「逃げたくても逃げられない」心の中で起きている葛藤とは?

こんにちは。

心理カウンセラーの飯田です。

適応障害でカウンセリングに来られる方の多くが、こんな言葉を口にされます。

「本当はもう限界なんです。でも、逃げるわけにはいかない」
「私が辞めたら、まわりに迷惑がかかってしまう」
「みんな頑張ってるのに、自分だけ楽になるなんてできない…」

それは、本心では逃げたいと思っているのに、逃げられないでした。

そんな深い葛藤を抱えた方の言葉です。

今回は、この「逃げられない心理」の背景について考えてみたいと思います。

逃げる=悪いことという無意識の前提

私たちの多くは、知らず知らずのうちにこのように思い込んでいます。

◦ 「逃げたら負けだ」

◦ 「逃げる人は弱い」

◦ 「自分さえ我慢すればいい」

◦ 「簡単に投げ出してはいけない」

これらは、子どもの頃から刷り込まれた価値観や道徳観であることが多いです。

親や教師、大人たちから繰り返し言われてきた言葉の中には、

「つらくてもがんばるのが美徳」
「我慢できる人が立派」

というメッセージが含まれていたかもしれません。

「逃げられない」の背景には“責任感”と“恐れ”

カウンセリングで見えてくるのは、逃げられない人の多くが、

実はとてもまじめで、責任感が強く、優しい人だということです。

◦ 「まわりの人をがっかりさせたくない」

◦ 「自分が抜けたら他の人が大変になる」

◦ 「期待に応えられなかった自分が許せない」

そんな思いを抱え、心と体の限界を超えてもなお、

「逃げる」という選択ができずに苦しんでいます。

その一方で、「でも、もう限界です」と涙ながらに語る姿もよく見られます。

「逃げたい」と思うことは、あなたの心の“防衛本能”

ここで大切にしていただきたいのは、

「逃げたい」と思うことは、心が出しているSOSです。

それは「壊れる前に自分を守ろう」という自然な防衛反応です。

逃げたいと思うことは、甘えでも、わがままでも、逃避でもありません。

あなたの中の「もうこれ以上は無理」という正直な気持ちなのです。

「逃げる」ことと「手放す」ことは違う

時に、私たちは「逃げた」と思ってしまうことでも、

実はそれは「手放した」「選び直した」ことにすぎないのかもしれません。

◦ 合わない職場を辞める

◦ 無理な人間関係から距離を取る

◦ 疲弊する環境から一時離れる

これらは、人生をより健全に保つための「戦略的な離脱」とも言えます。

そして、その選択をするためには勇気が必要です。

カウンセリングは「逃げていい」と言ってくれる場所

適応障害で苦しむ方にとって、「逃げてもいいんですよ」と言われることは、

心の中に強く張りつめていたものを、ふっとゆるめるきっかけになることがあります。

カウンセリングは、あなたが本当の気持ちに気づき、

自分を責めずに「選び直す」プロセスをサポートする場所です。

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